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福音を齎したのは #04

#04

「所詮、この世界の奇蹟は全て偽物だということでしょう」
「偽物?」

そうです、と頷いた岬の髪を梳く。

権力者として。
そして、統率者としてのあらゆるしがらみに捕われている俺に唯一許された自由の中で、ようやく見つけたこの愛しい存在。
だが、それは万人に祝福されるものではなかった。
出逢ったことを否定され、非難され、嘲笑された。
いや、正確に言うならば、彼が。

俺に剣を向けることを躊躇した愚か者たちは、あろうことかその切っ先を彼に向けたのだ。
しかし、彼は眉ひとつ動かさず、何てことのないかのように微笑すら浮かべてそれを受け止めた。
そうして今も、彼はやはり平然とした顔をしている。

「何十万人、何十億人の中から、あなたは私を見つけてくれた」

この広い世界の中で無意識に探していた、たったひとりの人間を見つけた。
それを奇蹟だと呼ばないのなら、この世界にある奇蹟は全て偽物だ、と。
本当に愛すべき人と出逢い、愛し合うことができたこの現実を過ちだと言うのならば、私は全ての奇蹟と呼ばれるものを否定しましょう、と。
優しく穏やかながらも、強靭さを秘めた声音でそう言う。

「私にとっては、あなたの言葉だけが真実です」

あなたも奇蹟ではないと言いますか?
真っ直ぐな眼差しで見つめられ、一瞬呼吸を忘れる。
あぁ、これほどに強く美しい命がこの世界に生まれたことこそ、全ての奇蹟を凌駕する奇蹟だ、と思う。

「岬…岬、お前は…俺の奇蹟そのものだ」 

ふわりと笑んだ岬を抱きしめ、腕に感じる温もりにこれ以上にないほどの愛しさと幸福を感じる。
初めて、誰かの生を。
そして、自分の生を心から感謝した。  

  きっとまた、僕は君を愛するために生れるだろう

(2013.12~2014.01/携帯用)


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2017-03-16
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