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光を胸に抱きて #03

#03

「足掻けよ」

哀しげ、というよりは切なげで。
かと言って悲観的なものではない、穏やかな微笑を浮かべて。
親が子を想うように、強く深く。
そして。
ひどく優しい声音で呟かれた、言葉。

「足掻いて、しがみ付け。どんなに惨めな思いをしても、諦めるな」

独り言のようなそれは、ともすれば聞き逃してしまいそうなほど小さなものだった。
だが、まるでこの世界のありとあらゆる音が消えてしまったかのように。
彼らには、その声だけが聞こえた。
いや、その声しか、聞こえなかった。

「命令だ」

共に死ぬことは許さない、と告げる。
あぁ、何て傲慢な命令だろうか。

(あなたと共に在ることが、俺たちの意義だというのに…)

それを知りながら、それでも。
死ぬな、と言う。
身勝手で、我がままで、傲慢な命令。

だが、それに逆らえる者などいなかった。
自分たちに遺された彼の最期の言葉を拒むことなど、できなかったから。
そして、自分たちだけに向けられる穏やかな微笑みを胸に焼き付けるように。
優しい声音を脳に刻み込むように、涙を堪えて伏せていた顔を上げる。

「誰に何と言われようが、忘れるな」

胸を張れ。
前だけを見据えろ。
何度踏み躙られ、何度躓き、何度絶望したとしても。

「生きろ」

たったひとりの主の切々な祈りの言葉に、誰もが願った。
あぁ、どうか。
どうか、朝陽の先に落ちるこの希望の光の元へ還るその瞬間。
誰よりも誇り高くあれますように。
足掻いて、しがみ付いて、惨めな思いに押し潰されそうになったとしても。
国中の人間から罵倒され、否定されたとしても。
どうか、この人に胸を張って誇れる生を、生きることができますように、と。

  あなたが遺した最期の命令は、あまりにも残酷で…あまりにも、優しいものだった

(2013.04~2013.05/土方歳三+守衛's)


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2017-03-16
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