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福音を齎したのは #03

#03

「探していたんだ」

精悍で野性的な容貌とは相反する繊細で丁寧な字でサインをされた書類の端を整えながら、岬は応接用のソファに深く腰掛けているヴィルフリートに視線を向ける。

「…何を、探しておられたんですか?」

いつだって不遜に、そして威厳を纏って頂点に君臨する男が与えられた時間を持て余している不器用な姿に微笑ましいものを感じながら、何ともなしにそう問う。

「この心を埋めてくれる、何かを」

おいで、と手招く彼に苦笑をひとつ落とし、素直に傍に寄ってやる。
すかさず伸びてきた腕に腰を捕われ、まるで、大型犬が懐くように顔を腹部に埋めてきた上司の髪を梳く。

「それは、見つかりましたか?」
「あぁ、見つけた」

迷子になっていた幼子がようやく母親と再会を果たしたかのように、強く。
だが、温もりを伝えてくる腕は、自分という存在を慈しむように、ひどく優しいもので。
岬はヴィルフリートの後頭部に掌を宛がい、そっと抱き寄せた。
そして、全身を岬に包み込まれているかのような安心感に身を委ねたヴィルフリートは、胸が痛むほどの愛しさを、噛み締めた。
欠けて歪な形を晒していた己の心を埋め、“世界”そのものの存在意味を変えてしまった愛しい存在。
全てを賭けて護りたいと想えるそんな存在と出逢い、そうして愛し合える確率は、きっと限りなくゼロに近いだろう、と思う。

「…それでも、奇蹟だとは言いたくない」
「この出逢いを?愛し合っていることを?」
「どちらも」
「では、そうですね…ありきたりかもしれませんが、」

魂が無意識に探していた存在と出逢えたことを。
想い合い、愛し合うことができたことを。
この限りなくゼロに近い確率で得られた幸福を。

「必然、と呼びましょう」

今この瞬間、あなたを愛しいと想うのもまた、必然です。
そう言い切った岬の優しい眼差しに、ヴィルフリートの胸を歓喜が押し寄せてきた。

「必然、か」
「あなたが支社に来たのも、そこに私がいたのも…いいえ、私たちがこの地球に生まれたことも」
「お前と共に在りたいと願った先にある未来は?」
「必然です」

あぁ、奇蹟を凌駕するほどの至幸の必然よ。
願わくば、この愛しい存在に限りなく続く幸いと光の祝福を、と祈らずにはいられなかった。

  折り重なる必然の糸が絡まって、国も言葉も違うボクらが出逢った奇跡に、どうかアレルヤを

(2012.08~2013.09)


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2013-11-09
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