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終末の詩を唇に乗せて #02

#02

闇よりも深い黒色のスーツの上に纏う、硝煙と血と煙草の匂い。
色濃く絡みついているそれは、この冷酷で獰猛な獣に狩られた哀れで愚かな非捕食者の命の匂い。

(あなたは、気付いていますか?)

掟という鎖に縛められ、手足を絡め取られ、孤高でありながらひどく不自由な男。
不自由な世界の中で器用に生きているように見えて、その実はとても不器用な男。
私の、愛しい人。

「ライ、」

硝煙と血と煙草の匂いを纏わせ、心ごと縛められて不自由な身体のもどかしさと歯痒さに苛まれるこんな夜。
彼は、決して私に触れない。
一定の距離を取り、どこか臆病な獣のそれによく似たテリトリーを作る。
入ってくるな、と威嚇するのではなく、入らないでくれ、と懇願するかのように。

「あなたは、地獄へ堕ちるには優しすぎる人ですね」

何を言っているんだ、と瞠目する彼の頬に、手を伸ばす。
意識的にか、それとも本能的なものなのか。
身体を強張らせ、私から離れようとする彼のテリトリーの中に、踏み込む。
入ってくるな、と悲鳴に近い声が聞こえた気がした。
それでも、彼は私を拒まない。
私を突き放すことなど、容易いだろうに。

「そして私は、あなたが思っているような優しい人間ではない」

彼の頬に、掌を宛がう。
幾百の命を背負い、幾百の命を奪う権力者である彼の力強く鋭い瞳の中に、彼のものとは思えないほど弱々しい色を見つける。
けれど、それには見なかった振りをして。

「だから、いいんですよ」

あなたは、気付いていますか?
誰かの命の匂いを纏わせる夜。
誰かの血に濡れ、またひとつ罪を背負った夜。
あなたは、私に触れることを。
私に触れて、その手で穢してしまうのではないか、と怯えていることに。

「血濡れることも、硝煙に焦がされることも…私は厭いません」

そして、優しくて不器用で生きることに不自由なそんなあなただから。
私は、あなたを愛しているのだ、と。
共に穢れ、共に業火に焼かれたいと思っているのだ、と。
気付いて、いますか?

  サァ、ソノ血ヌレタ罪深キ愛シイ手デ、コノ身体ヲ犯シテクダサイ

(2013.04~2013.05)


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2013-11-09
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