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地上の楽園は此処に #02

#02

「よっ、お疲れ」
「また来ていたんですか」

可愛い顔をして可愛くないこと言う、と呟けば、手に持っていたファイルでばしりと背中を叩かれる。
わざとらしく痛がってみせながら、橘は作業着のポケットに忍ばせていた缶のホットココアを差し出した。

「何ですか?」
「コーヒーの方が好きだった?」
「い、いえ…」
「なら、はい。ついでにチョコレートもあるんだけど、どう?」

ポケットから次から次へと出される物に、夏芽は思わずぽかんとしてしまう。
整備士の作業着はポケットの数も多く、スラックスのそれよりも大きいことは確かだ。
だが、缶のココアにチョコレート菓子。
そして、自分が飲むためのものなのか、缶コーヒーまで出てくるものだから、さすがに苦笑してしまう。

「まるで、四次元ポケットですね」
「クッキーもあるぞ」
「甘い物、お好きなんですか」
「んー?まぁ、嫌いじゃないけどな。好きってほどでもないかなぁ」

チョコレート菓子にクッキー、飴玉までポケットに入れて持ち歩いているというのに。
甘党ではない、と言う男に夏芽は首を傾げる。
だが、甘党の自分にとっては嬉しい贈り物だ。
休憩室の自動販売機には数種類のココアが並んでいるが、その中から選ばれた自分が一番好きなミルクたっぷりのホットココアの缶に視線を落とし、つい口許が緩む。
そんな幼い表情を見せる夏芽に橘も口許を緩め、彼の頭をぽんぽんと撫でる。
数種類あるココアの中から、彼の好きなそれを選んだのは偶然ではないのだ、と言ったら。
彼は、一体どんな表情を見せてくれるのだろうか。
そして、大して好きでもない菓子をポケットに詰め込んで、整備棟の真逆の場所にあるこの管制塔に通っているその理由に。
彼はいつになったら気付くのだろうか、と思う。

「ま、俺は気が長いから長期戦も望むところだけどな」
「え?何か言いましたか?」
「やっぱり地上はいいよな」
「?」

疑問符を浮かべながらも、チョコレート菓子を美味そうに口に運んでいる夏芽の髪をくしゃりと撫でて。
明日は甘い菓子に甘い言葉でも添えて贈ってみようか、と橘は内心でほくそ笑んだ。

  地上こそ、愛を語らうに相応しい場所だと思わないか?

(2013.02~2013.03)


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2013-11-09
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