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地上の楽園は此処に #03

#03

僅かな浮遊感と身体に圧し掛かる重力。
そして、それが解けた瞬間の安堵感。
視界を支配するのは、どこまでも広がる闇の世界。
ここに地上人が憧れる蒼く澄んだ空はなく、まるで、深海のような静寂だけが在る。
まさに、神の領域。
羽根を有した天使にさえも侵すことができない、美しい世界。

(何度見ても、美しい)

やがて、地上から35,000フィートの果てしがない漆黒の海に、神が光を落とす。
その神聖な優しい光は波のように、風のように闇を包み、じわじわと侵食していく。
こうして、この世界に生きる人間たちが「朝」と呼ぶ世界が訪れるのだ。
地球に等しくもたらされるその瞬間の入り口に、誰よりも早く入り込むことのできるこの言いようのない高揚感と優越感を味わう。

(いつか、見せてやりたいな)

俺たちクルーと乗客の幾百の命を預けるこの機体を誰よりも愛し、護ってくれているあの子に。
満面の笑みで千切れんばかりに腕を振り、ついでに作業用のキャップも飛ばさんばかりに振り、長い旅路に出る俺たちを見送ってくれるあの子に。

(悠太…)

コックピットの中から見えた彼のその唇が、「Good luck」と動いたように見えたのは気のせいではないはずだ。
俺が朝を迎える頃、彼は間逆の世界の中。
違う時間の上を生きるしばしの間、彼は何を見て、何を感じ、何を想って過ごすのだろうか。
土産話ではなく機体の調子ばかり聞いてくるあの子は、俺に着替える時間も与えず、表情豊かに話して聞かせてくれるのだろう。
楽しそうに話す姿を思い浮かべれば、自然と口許が緩む。

(良い夢を…そして、翳ることない笑顔の1日を、愛しいあの子に)

幸運あれ。

  大いなる空と、空に抱かれる者達へ天の栄光、降り注がん

(2013.08~2013.09/携帯用)


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2013-11-09
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