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地上の楽園は此処に #01

#01

「夏、夏くん」
「……」
「なっちゃーん?」
「……」
「夏芽、」
「…もう、一体何なんですか。いつもいつも、この時間に出没して」
「出没って…キッチンに出る黒いアイツみたいな言い方しないでよ」
「神出鬼没なところはよく似ていますね」

神経が図太そうなところも、と付け加えられ、橘は否定できないなと苦笑を落としながら、作業着のポケットから缶のココアを取り出した。
整備棟からは真逆の位置にある管制塔の休憩室にある自動販売機に入っている、数種類あるココアの中の1つ。
毎年新しい銘柄やパッケージになる他のものとは違い、それは発売当初から変わっていないという。
そして、チョコレート色をしたその缶を差し出された夏芽のどこか冷たさを感じさせる怜悧な容貌が、微かに緩む。

「ベルギーから直送のチョコレートも間もなく到着予定なんだけど」
「…それが何ですか?」
「今なら、もれなくココアに付いてくるよ」
「ツナギを着た男からお菓子を貰っても付いて行ってはいけない、と上司に言われていますので」
「え、マジで?じゃぁ、ツナギ脱ごうか?」
「冗談ですよ」

小さく笑う夏芽のその表情は初めて見るもので、橘は眩しいものでも見つめるかのように瞳を細めた。
年相応の彼の幼い笑みにつられ、口許が緩む。
いっそ衝動に突き動かされるまま抱きしめてしまおうか、と思ってしまう。

「夏芽、」
「はい?」
「…いや、何でもない。今はまだ、この甘さを味わうことにするよ」

今はまだ、この心地の良い甘さに微睡むのも悪くはない。
首を傾げる夏芽の髪をくしゃりと撫で、このあと見せてくれるだろうチョコレートよりも遥かに甘い彼の笑みを想像しながら、そっと口端を上げた。

  好きだよ、大好きだよ、愛しているんだ。密かなこの想いよ、君に届け

(2013.02~2013.03/携帯用)


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2013-07-21
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